ひとりごと153号
太田市文化スポーツ振興財団と同体育協会が主催する「公開講座」が来月6日(金)から始まる。平成17年からこの時期に行われているジュニアスポーツ指導者を対象にした講座で、毎年延べ千人以上が受講している。スポーツ障害の実態と予防、コーディネーショントレーニングの必要性、栄養学などジュニアの指導者に必要な専門的で、より高度な知識が無料で学べる全11回の講座だ。講師陣は、体育系大学の教授や日本のトップアスリートを指導する先生方だ。私も毎年受講し、5回以上の受講で太田市体育協会から発行される「指導者認定証」(有効期限3年間)を毎年更新している。日本のスポーツ医科学は、欧州などに比べ、まだ発展途上にある。法整備も然りだが。私も初めてこの公開講座を受講したとき、学童野球の指導をしていた頃の指導方法は間違っていたのでは?と、今更ながら不安になった。あの頃、この公開講座があれば、もう少し野球というスポーツの楽しさを伝えられたかもしれない。団体競技は個の集合体。結果は、個々のスキルとモチベーションによって大きく変わる。それをコントロールするのが指導者であるという当たり前のことも気づかされた。いずれにしても、この公開講座はジュニアスポーツの指導者にとって必聴の講座だ。勿論、一般の方の受講も可能。詳しくは、ガンバHPで確認してください。
ひとりごと152号
明日26日(土)と27日(日)の両日、太田市運動公園で今年も秋の一大イベント「太田スポレク祭」が開催される。26日は、学童野球6年生選抜チームの頂点を争う「第11回スバル旗争奪群馬県学童軟式野球大会」の決勝戦が、午前10時から野球場で行われる。今年は、大会連覇に王手をかけた太田東選抜と太田の連覇を阻止し初優勝を狙う沼田選抜が激突する。スバル旗終了後には、太田商業対高崎商業の高校野球親善試合も行われる。試合開始は午後1時の予定。この他陸上競技場では、ラグビートップリーグ公式戦「パナソニック・ワイルドナイツvsリコー・ブラックラムズ」戦(午後1時)体育館では、元プロテニスプレーヤー・杉山愛さんのテニスフェスタ(午前10時)、午後3時からは、ドリームベースボール・指導者クリニックなどが行われる。27日は、恒例の「上州太田スバルマラソン」や金田正一、張本勲、矢沢健一、藤田平、堀内恒夫、村田兆治、大島康徳、鈴木健など元プロ野球選手らが参加してホームラン競争や地元富士重工業野球部OBチームとの親善試合を行う「ドリーム・ベースボール」、「三洋地区対抗綱引き大会決勝」の他、ステージイベントや物産展など盛りだくさんの催し物が開催される。毎年、この2日間は、写真撮影のため各会場を走り回っている。天気予報ばかりが気にかかる今日この頃である。(祈)
ひとりごと151号
すっかり秋らしくなり過ごしやすくなった。東京五輪開催とレスリング復帰も決まった。そして、この東京五輪開催を機に「スポーツ庁」の設立も囁かれる今日この頃だ。この数年続く、子供のスポーツ離れにも歯止めがかかることを期待する。というのも、私が関わっている太田市の学童野球でも登録人数が年々減り続けているからだ。合併直後の平成17年度は、29チームで登録選手数約680人。現在は、28チームで約530人。この8年間で凡そ150人も減少したことになる。桐生市の学童野球関係者から、今年度16あったチーム登録数が、来年は10チームを下回るかもしれないという話も聞く。市内人口の減少や少子化の影響もあるだろうが「球都」と言われた都市の底辺が縮小してしまうのは、あまりにも偲びない。このような状況を鑑み、県連でも規約を改訂し、登録可能学年を3年生から1年生へと引き下げた。これは、あくまでもチーム登録数を減らさないための救済措置と受け取るべきだろう。現実問題として1年生が公式戦に出場することなど無謀すぎる。高学年の投げた球や打球を捕球できるだろうか? 心臓震とうなどの重大事故に繋がる可能性がある。球が当たるなど前胸部への衝撃によって心拍が停止して死に至る心臓震とう。国内で確認されている症例は24例。その半数以上を占めるのは硬式・軟式野球なのである。
ひとりごと150号
暑さなのか、歳なのか、最近、朝早く目が覚める。特にやることもないので、古い資料を整理することにした。昔使っていた手帳の裏表紙に書かれていた文字が目にとまった。「道天地将法」「智信仁勇厳」孫子の兵法始計篇に書かれている有名な文言である。この手帳は、私が社会に出て間もない頃、上司にもらった手帳だ。当時のビジネスセミナーなどでは、頻繁に孫子の兵法が引用されていた。「戦は、道天地将法の5つの要素で勝敗が決まる」という意味だ。「道」は道理・大義。「天」は時・運。「地」は地の利。「将」は指揮官。「法」は規律・戦法。戦をビジネスやスポーツなどに置き換えると意味が理解しやすい。そして、この5つの要素の中で最も重要なのが「将」指揮官だ。唯一これだけは選べる。孫子の兵法には、将たる者の条件とは「智信仁勇厳」の5つの人格を有することと記されいる。「智」は知恵・戦略。「信」は信望。「仁」は思いやり・情。「勇」は勇気・決断力。「厳」は己に対する厳しさである。「何か事を始める前には、必ずこれを読み返せ」と言ってくれた今は亡き上司の笑顔を思い出した。決して達筆ではないが、人柄が滲み出た筆跡を指でなぞってみた。懐かしい想い出とともに、何か大切な宝物を見つけたような気がした。気がつけば、すでに陽は昇り、木洩れ日が差し込む窓の外には、夏の終わりを告げる青い空が広がっていた。
ひとりごと149号
以前、このコラムで取り上げた「スポーツ基本法」第1章総則第5条を再度掲載したい。(原文のまま掲載)
(第五条)スポーツ団体は、スポーツの普及及び競技水準の向上に果たすべき重要な役割に鑑み、基本理念にのっとり、スポーツを行う者の権利利益の保護、心身の健康の保持増進及び安全の確保に配慮しつつ、スポーツの推進に主体的に取り組むよう努めるものとする。(二)スポーツ団体は、スポーツの振興のための事業を適正に行うため、その運営の透明性の確保を図るとともに、その事業活動に関し自らが遵守すべき基準を作成するよう努めるものとする。(三)スポーツ団体は、スポーツに関する紛争について、迅速かつ適正な解決に努めるものとする。特に、(三)に関しては、加盟チームや監督・コーチ・選手・保護者間の紛争だけではなく、身内の紛争解決も示唆している。紛争の仲裁役を行うべき団体が身内で争うことなど論外である。独占的支配権を持つスポーツ団体だけに、市町村合併後の主導権争いなど、根の深い問題もある。ただ、「独裁や私物化」だけは絶対に許してはならない! スポーツ団体とは、加盟する会員のために存在する組織なのだ。故に自己の利を優先し、会員に不利益となる施策などは、スポーツ基本法第五条に抵触する可能性もある。このテーマについては、今後も取り上げていきたい。
ひとりごと148号
日本を代表する大きな組織の不祥事が世間を騒がせている。パワハラ、セクハラ、隠蔽、自己保身など、スポーツという世界には似つかわしくない言葉が並ぶ。歴史ある組織ほど所謂「体質が古く封建的な弊習」が残っている。臭いものには蓋をしろという付け焼き刃的な弊習は時代錯誤も甚だしい。こんなことがまかり通ってはならない。スポーツという最も精神を重んじる世界に身を置きながら、あんな茶番会見はないだろう! ある意味ショックを受けた。どんなに大きな組織だろうとその体質は長たる者の「人格や品格」によって決まると言っても過言ではない。僭越だが、私の座右の銘とする名言がある。あの山本五十六氏の名言「人を動かす」である。「やってみせて、言って聞かせて、やらせてみて、褒めてやらねば、人は動かじ」これは誰もが知っている名言だが、実は、これは前文で続きがある。「話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。やっている姿を、感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず」数ある五十六氏の名言の中でも、私が一番好きな言葉だ。組織とは人がつくるものだという理念を教えられた言葉でもある。組織を永続的に繁栄させるには、普遍的な理念が必要不可欠。そして、何より大切なのは、長たる者の「人格や品格」である。長たる者の言動は、その組織のすべてを物語るのである。
ひとりごと147号
京都市の宝ヶ池公園スポーツ広場の片隅に「夢見る季節」というグローブとバットを持った少年のモニュメントが建っている。側面には「軟式野球発祥の地」と刻まれている。同市スポーツ少年団野球連盟と行政、そして、多くの市民の協賛によって平成15年に設置された記念像である。野球は、明治初年にアメリカから伝わり、大正4年に「全国中等学校優勝野球大会」(現全国高等学校野球選手権大会)が開催され、全国の青少年の間に急速に普及した。翌大正5年、硬式球が使えない少年達に、野球を安全かつ手軽に楽しんでもらうため京都市の小学校教員らによって「京都少年野球研究会」が発足され、当時の京都文具商業組合長・鈴鹿栄氏が中心となり私財を投じて野球用ゴムボールの開発が行われた。大正7年、軟式球が完成し、京都市内で同研究会が軟式野球大会を開催。これが、我が国はもとより、世界に普及した軟式野球の始まりとなった。開発の要となった鈴鹿栄氏は、その功績により平成15年に軟式野球界初の野球殿堂入りを果たした。解説文には「軟式野球は我が国最大の人口を持つスポーツであり、若年層の野球人口開発には不可欠である」と記されている。軟式野球は日本発祥の競技。その底辺を支えているのは、間違いなく学童野球である。「夢見る季節」の記念像に託された多くの人たちの「願い」を決して忘れてはならない。
ひとりごと146号
甲子園選抜大会での投手の連投問題が海外にまで飛び火、その賛否を巡って関係各方面で論争が起きている。某野球解説者が言う通り「他人がとやかく言うことではない」のかもしれない。監督や本人の本音を聞いてみなければ分からないことだ。決して公にはされないだろうが…。 ただ、これが小中学生なら話しは別だ。太田市野球連盟では、平成18年から「2日間の連投は10回まで」とする投球回数制限を設けている。これは前年度に行った学童野球メディカルチェックの結果を反映させたもので、以来このチェックは、毎年行われ、現在まで継続して行われている。また、同時に「指導者認定制度」の導入や公式戦での投手の投球数も記録し、投球数が多い場合には、指導者にその旨を伝える取り組みも行っている。このような取り組みは、全国的に見ても希なケースと言える。故に太田市の学童野球指導者は優秀であると言える。成長期にある子供たちの環境は、それに携わる大人たちが、そのことに理解を示さなければ改善されることはない。先述した甲子園の問題は、高校野球というブランド商材に群がる大人たちによって作られた環境で繰り返される悪しき風習とも感じる。教育の一環であり高校部活動の集大成となる晴れ舞台・甲子園を「ブラック企業化」させてはならない。大人の都合で、これ以上若者たちを犠牲にするな!
ひとりごと145号
ようやく春らしい陽気になってきた。今年の桜は入学式までに散ってしまうのでは?と心配するほど暖かい日が続いている。今年は、花粉や黄砂に加えPM2・5という歓迎できないオマケもついている。これから5月連休辺りまで外取材が辛い時期だ。愛用の60枚入り387円のマスクでは、事足りないようだ。もう少し奮発するかな…。ところで話は変わるが、先日取材の折、もう30年近くジュニアスポーツの指導を続けている人物と雑談を交え1時間ほど話しをした。子供たちの運動能力低下や生活習慣、食生活の変化など話題は多岐にわたった。中でも印象に残ったのは「目的」と「目標」の違いという話しだった。その指導者が言うには、近隣に遠征し練習試合などを行っているが、この「目的」と「目標」を混同してしまっている指導者や保護者を見かけるという。まるで試合に勝つことだけが「目的」であるかのように、試合の間、指導者や保護者から自チームの子供たちへの罵声が続く。「あれじゃぁ子供がかわいそうだよなぁ。ちっとも楽しそうじゃない」と嘆く。その通りだ。「目的」とは、その競技を通しての人間教育にある。そんな環境の中でバランスの取れた人格形成など出来るはずもない。試合に勝つという「目標」が、知らず知らずのうちに「目的」に変わってしまう競技スポーツの落とし穴だ。あなたのチームは大丈夫ですか?
ひとりごと144号
太田市野球連盟では、今年で8年目となる学童野球児童のメディカルチェックを行った。小学校4年・5年生150名を対象に、筋柔軟性、関節弛緩性、関節可動域、アライメント、筋バランス、肘関節の超音波観察、コーディネーション(体力測定)など7項目のチェックを行った。このチェックを実施し始めた頃は、肘関節障害の要因はオーバーユースによるものという見解であったが、ここ数年のデータからは、それに限らないということも推測される。というのも、今回のチェックでも顕著になったコーディネーション能力の低下。特に最後に行った体力測定では、片足閉眼立ち、反復横跳び、体幹保持、上体起こしなどの結果が全国平均を下回った。これは、基礎体力が全国平均にも及ばないほど低下しているということでもある。また、筋柔軟性、関節可動域、筋バランスなどでの左右差の目立つ児童が多く確認された。スポーツに必要なコーディネーション能力は基礎体力によって支えられる。基礎体力の低下に加え、筋バランスや可動域に問題を抱えていては、自分の身体を思うようにコントロールできず、パフォーマンスは向上しない。それどころか肘や肩、膝、足首などの障害を招くことにもなりかねない。一刻も早く、具体的なストレッチやトレーニング方法などを策定し、指導現場に伝えていかなければならないだろう。
ひとりごと143号
某公立高校の不祥事が大きな社会問題へと発展しそうだ。部活の顧問に体罰を受けていた生徒の自殺という重大事件。長きにわたり体罰を容認してきた学校側の体質に大きな疑問を感じる。彼らには、きっと人の命より大切なものがあるのだろう。それは、社会的地位、名誉、それとも退職金か? 人の命が失われたというのに、騒いでいるのは学校人事や入試の是非。「臭い物には蓋を」という得意の手法だ。調査するという時間稼ぎで、保身のための道筋を考える。自ら命を絶った生徒が、本当にかわいそうだ。君が命を懸けて訴えたかったことが、いま大人達の思惑の中で消し去られようとしている。問題は、体罰による指導方法を根絶させることだ。私もそうだが、スポーツを経験してきた者は、多かれ少なかれ、この体罰を経験している。散々走らされたり、正座させられたり、殴られたこともある。しかし、この体罰によって競技技術が向上したという経験もなければ、聞いたこともない。試合に負けると必ず理不尽な練習が待っていた。指導者の腹いせだと思っている。こういう悪しき伝統をなくさない限り、同じような事をまた繰り返す。指導者は、そのスポーツを通して社会に役立つ人材を育成しなければならない。試合の勝ち負けや指導者の実績など、どうでもいいのだ。体罰や暴力、暴言から、一体何が伝えられるのだろうか?
ひとりごと142号
新年あけましておめでとうございます。おかげさまで、ガンバも11回目のお正月を迎えることができました。これも、読者の皆様をはじめ、読売新聞太田地区会、そして、広告主各位のご支援の賜と深く感謝申し上げます。
ガンバでは、新しい年を迎えるにあたり、紙面の一層の充実を図ると共に、多様化する情報化社会のニーズにお応えするため、ホームページを活用したウエブ連動型記事の掲載に取り組みます。ガンバ配布エリアのジュニアスポーツ情報を日本中に情報発信し、地域のジュニアアスリートたちの「夢」を少しでも後押しできればと考えています。紙面では伝えきれないインタビュー映像や速報、取材写真などをホームページに随時アップしていきます。勿論PCだけではなくスマートフォンでもご覧いただけます。また、皆様からの投稿写真などを掲載するギャラリーやチーム紹介、動画広告の掲載などウエブの特性をフルに活用した様々な企画を準備しています。さらに、行政をはじめ、各競技団体やNPOなどと連携を図り、ジュニアスポーツ発展のための講演会や指導者講習会、シンポジウム等の実施。そして、かねてからお問い合せいただいていたガンバ特派員の募集も考察中です。また、新たな挑戦へ向けてスタートを切るスポーツコム・ガンバ。皆様には、今後とも変わらぬご支援をお願い申し上げます。